この記事では
・多嚢胞性卵巣症候群とは?
・原因とその治療法
についてはむえっぐ妻の体験を交えながら説明していきたいと思います。
多嚢胞性卵巣症候群に気付いたきっかけ
私に多嚢胞性卵巣症候群の診断がついたのは社会人になってすぐ、22歳の頃でした。
受診のきっかけは生理不順からです。
高校生まで運動部に所属しており、その影響もあったのでしょうか。
毎月きちんと生理が来ることはなく自分の中で生理が毎月来ないことは当たり前でした。
大学在学中もなんとなくそのままずるずると生理が来たり来なかったりで過ぎてしまったのですが、社会人になったことをきっかけにさすがに見直そう、と思い受診に至りました。
そこで言われたのが、「排卵されずに残ってしまっている卵子がいくつか見えるね。これは恐らく多嚢胞性卵巣症候群でしょう」という先生の診断でした。
多嚢胞性卵巣症候群とは
皆さんは多嚢胞性卵巣症候群をご存知でしょうか。
私はこの時初めて知りました。
PCOS:polycystic ovarian syndromeと表現される疾患です。
多嚢胞性卵巣症候群は20代〜40代半ばの女性の1割弱にみられるといわれています。女性の排卵障害の原因としては多くみられる疾患のようです。
日本産婦人科学会の診断項目は下記になります。
①月経異常
②多嚢胞性卵巣(超音波所見)
③血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常
この3項目をすべて満たした場合に「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されます。
では、どのような疾患なのでしょうか。①~③を順番に見ていきましょう。
①月経異常
・月経と思っていた出血が、実は排卵が無い出血(無排卵周期)
・無月経(3か月以上生理がなく、薬を服用しなければ生理が発来しない)
・月経周期が39日以上3ヵ月以内の稀発月経
私の場合はこの稀発月経で、しばらく期間が空いたと思うと忘れた頃にやってくる、という感じでした。
②多嚢胞性卵巣(超音波所見)
通常の生理周期では、排卵に向けて数十個の卵胞(卵子の卵)が育ち始め、その中で1個だけが十分に成長して排卵されます。他の卵胞は途中で成長が⽌まり、やがて小さくなっていきます。
しかし、多嚢胞性卵巣症候群の場合は卵胞が発育するのに時間がかかりなかなか排卵せず、成長途中の小さな卵胞が卵巣内に多く留まってしまいます。
私の場合も超音波で卵巣をみるとぽこぽこと黒く丸い影がいくつも見えました。
これがいわゆる成長途中の卵胞だったようで、なかなかそれ以上大きくならずに卵巣の外側に一列に並んで残ってしまっていることからネックレスサインとも呼ばれているそうです。
上記のように、多嚢胞性卵巣症候群では卵胞が育たず定期的な排卵が起きないため、生理不順となり不妊の原因に繋がるのです。
③血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常
通常、排卵には脳にある下垂体から分泌されるLH(黄体ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)という2つのホルモンが関わっています。
多嚢胞性卵巣症候群ではこのバランスが崩れて、LHばかりが過剰分泌されることによって、排卵がうまく行われなくなります。
また、血糖値を下げるホルモンであるインスリンも関わりがあります。インスリン働きが弱まると卵巣内での男性ホルモンの分泌量が多くなってしまうのです。
この男性ホルモンは卵胞の発育を抑制し、卵巣を包む膜を厚くすることによって排卵を妨げます。男性ホルモンによる症状として、にきびや多毛が出現することがあります。
私はこの時血液検査までは行わなかったので、①、②による判断となりました。
医師からこの説明を聞かされ、正直まだその時は”結婚”や”出産”ということに対して現実味がなくまだ先の話だし…とあまり危機感を覚えていませんでした。生理不順が改善されればそれでよかったので。
ただ、生理不順を放置していると子宮体がんのリスクが高くなることもあるようです。
妊娠を希望していないことを伝え医師と相談した結果、将来に向けて今から始められることとして勧められたのが漢方による体質改善でした。
漢方による体質改善
この時処方された漢方は「当帰芍薬散」というものでした。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」とは
足腰が冷える方、生理不順がある方など一般的に女性の悩み(月経異常や冷え症など)がある方におすすめの医薬品のようです。
当帰芍薬散は、全身に大切な栄養素を与え、血行を良くするのと同時に、水分代謝を整えることで余分な水分を体からとり除いて、足腰の冷え症や生理不順を改善します。(出典:クラシエの漢方)
粉末状の漢方薬を一日2回、食前に服用します。
ただ、この漢方薬、慣れるまでは苦いんですよね…。
ずぼらな性格の私はよく飲み忘れてしまっていたこと、必要に迫られていなかったことから、1か月も経たずに断念してしまいました・・・。
本格的な不妊治療のスタート
そして時は流れ数年後、旦那さんと出会い結婚。
いずれ子供は欲しいと思っていたので、過去に多嚢胞性卵巣症候群と診断されていたこともあり入籍したタイミングで再度受診をしてみることにしました。
結果はやはり同じ診断。
しかも今回は血液検査も行い、はっきりとLHの値が高いことも分かりました。
漢方を飲むこともやめてしまっていたので、当然の結果ですよね。ただ、心のどこかで自然治癒していないかな…と期待していたのですがこの疾患は自然治癒はなかなか望めないようですね。
ここからが私と多嚢胞性卵巣症候群の治療、そして妊娠に向けて本格的な妊活のスタートとなりました。
排卵誘発剤の服用
今回は以前と同様、当帰芍薬散の服用と並行して「クロミッド」という排卵誘発剤を服用しました。
クロミッドってどんな薬なのでしょう?
排卵誘発剤としてはもっとも有名な処方薬のようですね。
クロミッドの働きを見てみましょう。
クロミッドの働き
正式名称は「クエン酸クロミフェン」といいます。
この薬は脳に働き、先ほど出てきた排卵に関わるホルモンLH、FSHの分泌を促すことで、間接的に卵胞発育を刺激するものです。
その他の一般的な女性ホルモン剤は副作用による吐き気やめまい、むくみなどが起きやすいのに対し、クロミッドはそういった作用が少ないことが特徴です。
私自身も特に副作用は感じませんでした。
しかし、その他の特徴としてクロミッドの服用を続けていると子宮内膜が薄くなったり頸管粘液(排卵時のおりもの)が少なくなるなどの副作用があるため、5、6周期治療しても妊娠に至らない場合は治療方針を変更することが多いようです。
クロミッドの服用方法
クロミッドは生理開始日から数えて5日目から5日間、毎日1錠服薬します。
どうして生理5日目かというと、排卵の仕組みが影響しています。
上で、排卵に向けて作られた卵胞のうち、実際に排卵するのは1個だけという説明をしたのを覚えていますでしょうか。
その選ばれし1個の卵胞が大きくなりだすタイミングが生理5日目頃なのです。
生理5日目以前に飲み始めると、他の卵胞も大きくなってしまうことがありその場合は多胎妊娠(双子や三つ子)に繋がる可能性が高くなります。
きっちりタイミングを守ること、これが不妊治療では重要で働きながらその周期に合わせて受診し治療を続けていくことが本当に大変でした…。これはまた別の機会にお話しします。
当帰芍薬散、クロミッドの服薬、そして基礎体温の計測とタイミング法、これが私たちはむえっぐ夫妻の不妊治療のスタートでした。
タイミング法についてはまた次回お話していこうと思います。